にのだん社会保険労務士事務所

人と人をつなぐ「たすき」となり

人事労務管理全般をサポートします

にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和3年11月号(No.24)

【事務所開業より三年目に感謝いたします】             

令和元年11月1日に「にのだん社会保険労務士事務所」を開業して丸二年となりました。開業当初は先の見えない不安や心配な気持ちの中でのスタートでしたが、何とか三年目を迎えることができました。

開業してから私の心の中にいくつかの感謝の気持ちがありますが、まずはこの1年、もともと私は開業してから社会保険労務士として顧客がなく、公的な機関などの窓口相談業務が仕事の中心でしたが、この1年間で事業所様と業務委託契約や顧問契約など何社か結ばせていただくご縁をいただきました。仕事に色分けするつもりはないですが、士業として個別に事業所様と契約を結ぶ本業をスタートできたことは大きな進歩であり、一つ目の感謝であると感じます。他の社労士の先生と比べると実務の経験値は圧倒的に不足していますが、私の武器は多種多様な職務経験であり、現場主義と言えば偉そうかもしれませんが、本や机上だけの考えではなく経験をもとにした人事労務管理に関するアドバイスやプラスとなるヒントをこれからも事業所様にひとつでも多く提供できればと感じています。

そして、もうひとつ私の中で常に感じている感謝、それは開業する前の出来事ですが、酒の席でかつて勤めていた会社の先輩に事業を始める話をしたら「俺は昔、金融機関で働いたことがあるから事業計画を言ってみろ。融資できるかどうか判断する」と言われ、自分なりの今後の未来予想図を語ったら、ことごとく全否定され「そんな見通しの甘さなら金なんて貸せるか」と本人は酒に酔って記憶が曖昧のようでしたが、私なりに当時は腹が立ちましたし、大きなショックを受けました。しかし今となっては、その時の出来事があるから自分の中で事業に対する冷静な判断や覚悟も備わったような気がします。友人や知り合いから会社勤めを辞めて事業を始めようとしたときに「うまくいくだろうか?」と相談されて本音を言えるかといえばなかなか難しいと感じます。自分のビジョンに賛同や肯定の言葉ばかりが続くと本人は成功を約束されたような錯覚に陥るかもしれません。しかし、そのような助言のあと事業を開始し、予想とは違う結果になれば「あの時事業がうまくいくと言ったのに・・・」と都合の良い解釈で他人に責任転嫁する可能性もあります。私は助言の中で厳しい言葉と否定を投げかけられながらも、結局は自分の考えを修正することなく、そのまま貫いて今に至っております。しかし、それは自身の事業に対する覚悟ができた結果ですので、今は先輩には感謝しかありません。これからも社労士事務所を運営していく中で私に関わるたくさんの方への感謝を忘れず、人と人をつなぐ「たすき」のような存在である社会保険労務士を目指していくために日々の自己研鑽に努めていきます。

【職場におけるハラスメント防止対策強化について】

令和4年4月1日から全事業所において職場におけるパワーハラスメント防止措置が事業主の義務となります。(大企業は2020年6月より)措置に関する詳細については①事業主の方針等(パワハラを行ってはならない旨)の明確化及びその周知・啓発②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応④そのほか併せて講ずべき措置として、プライバシー保護のための必要な措置と労働者への周知、相談したことを理由とした不利益な取扱いをしない旨を定め、労働者への周知を行うこととなっています。また望ましい取組みとして自ら雇用する労働者以外の者(個人事業主やフリーランス、インターンシップを行う者など)に対しても同様の方針を併せて示すことが厚労省のリーフレット資料に掲載されています。そして防止対策としてパワハラ・セクハラともに事業主及び労働者の責務を明記、事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止など今回の法改正により強化されることとなりました。

たまに国会議員や首長がパワハラを行ったというニュースが大きく取り上げられていますが、真相ははっきりしなくても「自分の方言や言葉遣いで大きな声や早口で言ったかもしれないが、恫喝するつもりで言った訳ではない」といった弁解は典型的なパワハラをする方の言い分のように感じます。しかし客観的な証拠がない場合などパワハラに該当するかどうか判断が分かれてしまうことになると、この問題はより複雑になるかもしれません。厚労省のリーフレットには「パワーハラスメント」とは職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより③労働者の就業環境が害されるものと記載されており、今まではパワハラを疑われた時「それは誤解です」や「捉え方の相違だと思います」といった主張や言い分によりうやむやになったかもしれませんが、今後は事業主の責務としてハラスメントに関しては真摯に対応しなければならない問題であり、対応次第により当事者の責任のみならず、事業所に対する安全配慮義務違反や損害賠償責任に発展する可能性があるかもしれません。周りの証言を含め明らかに言動や態度に問題があると判断される場合は、相談を受けた側が迅速に対応し、当事者は弁解に走るのではなく直接「すまなかった」と本人に謝罪する姿勢を見せることも重要ではないかとパワハラを過去に経験した私はそのように感じます。しかし私自身「自分もこんな経験をしてきた」ということを言い訳に部下や後輩の社員に対して威圧的な態度や言動を行ったことがあったことも事実です。最近、前の職場で一緒だった年下の男の子にいつも「お前」と呼ばれるのがすごく嫌だったと言われ、自身では深く考えていないところで相手に不快な思いをさせていたことを知り謝罪したことがありました。私自身、過去を振り返れば反省しなければならないことがたくさんあり、今回この法改正をテーマにさせていただきました。ハラスメントに迅速に対応できる会社やお店というイメージは対外的に良い印象を与える一方、反対に対応から逃れようとする姿勢や印象、噂が広がってしまうと離職率や業績、人材の獲得に悪影響を及ぼす恐れがあることを意識する必要があるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました